My favorite Three Kingdoms

三国志に特化したコラムをやりたいという思いから開設しました。演義や正史に拘らず楽しみながらやっていきます。

【連載23】未曾有の事態

2020年の日本は、新型コロナウィルス感染拡大という歴史上経験した事のない未曾有の事態に陥っています。東大京大、早慶等の一流大学をトップクラスの成績で卒業した超エリート集団の官僚でさえ、これまでの前例が無い為に何が最善の策なのかわからずに手探り状態なのです。

我々国民は、決して安くはない税金を義務として納めていますので、官僚は今回のような未曾有の事態には国民が安全安心して暮らせるような対策をテキパキと打ち出す必要があるのは当然なのですが、実際のところ新型コロナ関連の対策では、安倍総理の対応が毎回のように後手後手になっているという印象は否めません。ただ、総理大臣という国のトップの人間は、国の未来、経済、環境、国益等、あらゆる事柄を誰よりも高い位置から見渡し、大局を見極めて判断し、決断を下さなければいけないのです。簡単な事ではありません。もしその判断を見誤った場合には、その影響が国家の存亡に関わると言っても過言では無いからです。

 

西暦208年、曹操張繍(ちょうしゅう)、袁術(えんじゅつ)、呂布(りょふ)、袁紹(えんしょう)、劉琮(りゅうそう)といった群雄を打ち破り、いよいよ『呉』の孫権を倒して天下統一を狙おうとしていました。三国志で最も有名な『赤壁の戦い』です。当時の孫権は、二代目君主である兄の孫策から引き継がれて間もない若干19歳の若僧で、まだ何も実績がありません。しかし『呉』の国内では、巨大な勢力を持った曹操が攻めてくるという未曾有の事態に陥っていました。

「おいおい、あの曹操に勝てる訳がない!民衆を戦火に巻き込まない為にも大人しく曹操に降伏するべきだ!」いう文官達の意見と「先代から受け継いだこの豊かな土地と民衆を、易々と曹操に差し出してどうするんだ!最後まで曹操と抗戦をするべきである!」という武官達の意見で分かれました。若き君主である孫権は大いに悩みます。君主は大局を見極めて判断し、決断を下さなければいけません。君主の決断がそのまま国家の存亡に関わってくるからです。しかも虎視眈々と天下統一を狙っている曹操は待ってはくれません。そんな時、孫権周瑜(しゅうゆ)と魯粛(ろしゅく)という最も信頼している参謀から進言を受けます。

「殿、劉備と同盟を結んで曹操と戦うのです。文官武官を交えた会議の場で曹操と戦う意志を堂々と示して下さい!」

さらに彼等は、曹操の弱点を分析して戦っても十分に勝算がある事を説きました。

曹操軍は不慣れな土地に赴いている為に疫病が蔓延している。

曹操軍は水上戦に慣れていないので我が軍はそれに持ち込めば有利に戦える。

曹操軍は袁紹軍や劉琮軍など降伏させた軍が大半を占めるので全体の統率が取れていない。

これにより孫権の迷いは完全に吹っ切れて曹操と戦う決断を下し、そして周瑜魯粛の策により曹操軍を撃破して未曾有の事態を脱する事ができたのです。

 

新型コロナウィルス感染拡大という未曾有の事態から国民を守るのは、総理大臣の大局を見極めた決断にかかっています。それには官房長官菅義偉氏や首相補佐官和泉洋人氏といった参謀の策にも期待せずにはいられません。