My favorite Three Kingdoms

三国志に特化したコラムをやりたいという思いから開設しました。演義や正史に拘らず楽しみながらやっていきます。

【連載19】呉下の阿蒙にあらず

私は建設業界に勤めているのですが、以前から職場の上司にスキルアップとして国家資格の勉強を勧められています。その資格は、今の業務を遂行する上で決して必須ではありませんが、実務だけでは得ることが難しい知識を増やすことで自己啓発にもつながりまし、それがこの先も社会を渡り歩く上で自分の貴重な武器にもなります。ただ、大学受験以来、試験勉強というものから遠ざかっているのと、毎日仕事をしながらの勉強はそう甘くはありません。

まぁ本来ならば勉強は言われなくとも自主的にやるべきですね…(笑)

 

三国志で大変勤勉な登場人物といえば『呉』の呂蒙(りょもう)という人物がいました。呂蒙はもともとは武勇一辺倒の肉食系男子だったのですが、主君の孫権から「これまで通りに武勇を磨くのも、もちろん大事ではある。しかしこの戦乱の時代を生きていく為には、武勇だけでは少し物足りない。これからは書物を沢山読んで、先人の知恵を吸収することも必要であるぞ!」と教養の大切さを諭されました。それがきっかけとなり、呂蒙は素直に勉学に励んだのです。

ある日、上司である魯粛(ろしゅく)という人物が呂蒙と話をしていたところ、彼の言葉遣いや見識など、これまでとの変わりように『呉下(ごか)の阿蒙(あもう)にあらず!』と思わず唸ったのです。つまり「これは私が今まで見てきた、やんちゃ坊主だけの蒙(もう)ちゃんではないぞ!手強い!」と感心しました。それに対して呂蒙は『士別れて三日、即ち更に刮目(かつもく)して相待すべし!』と返しました。これは三国志の中でも有名な故事成語です。つまり「日頃から鍛錬をしている者は、三日も会わなければ見違えるほど変わっているのさ!テヘヘ…」と答えたのです。RIZAPではありませんが、まさに結果にコミットしたという事です。

呂蒙は、よほど熱心に勉学に励んだのでしょう。

また孫権は、呂蒙以外に蒋欽(しょうきん)という配下の武将にも同じように勉学を勧めたと言われています。

呂蒙はその後、三国志でも重要な拠点と言われている荊州という領土を管理していた関羽を策略で倒し、それによって劉備諸葛孔明の天下統一という野望を打ち砕くのです。主君の孫権に諭されて勉学に励んだ事によって、見事に後世に語り継がれるような結果を残しました。

 

仮に私が国家資格を勉強し取得をしても、直ぐに結果に結びつけるほど今の業界は甘くはないでしょうし、また上司も本当に私の成長を願って資格試験の勉強を勧めてくれているのはわかりません。しかし主君の期待に応えて努力をし、そして結果を残した事によって勉学の大切さを教えてくれた呂蒙は、まさに我々サラリーマンの星として輝いています。